
コンピューターを使いこなすアメリカの高齢者
突然ですが、皆さんは普段パソコンをどれくらい使いますか?
仕事や自宅で頻繁に使う人、
そうかと思えば「全く使わない」とか「もっぱらスマホで」という人も多いと思います。
ましてやGoogleの機能やMicrosoft Officeといったツールを使いこなせる人は
仕事で使わない限り習得する機会はなかったかと思います。
私もそうですが、年齢的に40代より上の人は
学校ではパソコンは習いませんでしたし、
自宅にまだコンピューターは普及していなかったと思います。
私も初めてパソコンを触ったのはWindows95が発売された時でした。
当時20万円以上するコンピューターは自分で買うには高すぎたし
仕事で使わない限り必要のないものでした。
ところがその後、電子メール(今はEmailといいますが)が普及してからというもの
パソコンは一般に広く普及していったと思います。
前置きが長くなりましたが、
パソコンを練習する機会がない人は
どうしてもコンピューターに触れるのが億劫で、
このコロナ禍の状況で
コンピューターで給付金の申請が大変という人が大勢いらしたと思います。
人に手伝ってもらうか、
わざわざ危険を冒して役所に出向いた人もいらしたでしょう。
しかしここアメリカは多くの高齢者にとっても
コンピューターはもはや生活必需品です
これはひとえに広大な国土だからこそ
必要に迫られて一般に広く普及したのだと思います。
ではどのようにして”before Windows95”(Windows95を学校で習わなかった人)の
人たちはコンピューターを習得しているのでしょう?
そしてアメリカ人はどのようにしてコンピュータースキルをアップデートしているのでしょう?
私の体験をもとにいかにアメリカ人にとってコンピューターが身近なのかをご紹介します
まずはコンピューターに慣れる
以前にこのブログの 留学前のお試しに アダルトスクール でも書いたように
アメリカにはアダルトスクールをはじめ、コンピューターの使い方を教えてくれる施設があちらこちらにあり、
無料に近い費用で習うことができます
Microsoft Office, Google のツールをテキストを見ながら自分のペースで習得できます
わからないところはインストラクターがいて逐一優しく教えてくれます
クラスの80%は60歳以上でスキルを学んで職探しをする、という人がほとんどでした
一旦リタイアしたあとの再就職に向けてクラスを取りに来られてます
”再就職”という目的がはっきりしていますし、
またアメリカは就職に年齢制限はありません
実際クラスメイトの66歳の方が歯医者の受付の仕事が決まったと言ってました
大学でコンピューターのクラスを取る
コミュニティーカレッジ(地域の短大)では
若い学生だけでなく一般の人が仕事のあとにクラスを取りに来て
再就職やもっと上のポジションを狙うため資格や学位を取ります
ほとんどのクラスはコンピューターが必須で
各自コンピューターを持ち込んだり
学校内にも無料でコンピューターが使えるところが数ヶ所ありました
さすがシリコンバレー、のあるあるなのですが
学校のコンピューターは2,3年に一度
地元のIT会社の寄付で新機種に総替えしてくれるそうです
多くのアメリカ人は必要に迫られて
アメリカは国土が広く、オンラインショッピングでないと買えないものがあります。
高齢者であっても同じです。特に高齢になると日々の買い物もオンラインで注文する人がいます
(重い荷物の持ち運びが大変なので)
こんな時コンピューターは不可欠です
ほかにも病院の予約、オンラインバンクでの支払い、情報の収集などすべてコンピューターが必要です
医者の診察もビデオで
最近コロナが流行ってからは、医者もビデオで診察します
予約時間になったらメールかメッセージで連絡が来て
URLを開くだけで先生がビデオに出てきてここが痛いとか言うと、
医者が検査が必要か判断して予約を取ってくれます
私も最初は、ビデオでー?わかるんかいな⁉と思いましたが
実際に受信してみて病気の程度、症状によっては
ビデオでいいものもあるな、と思い直しました
特にこのコロナ禍では病院に行くだけでもリスクが高いと思います
携帯電話とパソコンは用途を分ける

今ではあらゆることが携帯でもできますが、
アメリカ人の中ではコンピューターと携帯とは完全に用途を分けています。
一番の違いは
キーボードでタイプする作業はコンピューターでないとやりにくいことです
だからよくスターバックスでラップトップとにらめっこしてる人がいるのですね
ちなみに日本の”ノートパソコン”のことをアメリカでは”ラップトップ”と呼びます
(実際に膝の上に置いて使ってる人はあまりみかけませんが)
以前日本で「携帯でほとんどのことができるのでパソコンは必要ない」、と言ってる人がいましたが
私はタイプする作業にはやはりパソコンは必要不可欠だと思います
先生との伝達はメールかテキスト(メッセージ)提出物もメールで添付

私がコミュニティーカレッジに通っていたころ、
授業はほぼオンラインでした(コロナが流行るずっと前のことです)
授業で使うソフトを買ってダウンロードして
教科書は買わなくてもオンラインでEテキストを読むことができました
アメリカのコニュニティーカレッジは授業料は安いのですが
教科書が$100ドル以上するのでEテキストは大変助かりました)
宿題もすべてオンラインで提出でした
しまいには中間、期末テストもオンラインでした
先生とのやりとりもすべてEメール、テスト結果もオンラインで
はっきり言って先生は要らないと思いましたし、
先生に必要なスキルは学問の専門知識よりも
専用ソフトを使って生徒とやりとりするためのスキルのほうが必要に思えました
年寄りを敬う文化が裏目にでている?
私は今の日本の学校のIT化がどれくらい進んでいるのか
はっきりとは知らないので、偉そうなことは言いませんが
先日の給付金の申請の報道をみて、
「オンラインで申請なんてお年寄りにかわいそう」
「オンライン申請できない人が役所の前で長蛇の列に並ぶ」
など、いかにも政府の対応が悪いという風潮のニュースが流れていたのですが
なぜもっと前に、お年寄りもコンピューターが使えるように環境を整える
という風な発想はなかったのでしょうか?
お年寄り(目上の方に)にコンピューターを教えるなんて今さらかわいそう、ではなく、
普段からお年寄りにもコンピューターを生活に取り入れてもらう努力
をするべきだと思うのです。
アメリカのお年寄りは自分を年寄り、なんて思っている人は少ないですし
好奇心旺盛でなんでも吸収しようという方が多いように見受けられます
アメリカのオフィスで働いてみて思ったこと

以前、カウンティ(郡)の経理で働いていた時に感じたことは
- 大学ですでに高いコンピュータースキルを教わってきている
- 社内で1年に20時間スキルアップのためのクラス受講が義務付けられている
- 部署間のオンラインミーティング(同敷地内でもわざわざ行かない)
- 営業でも得意先にはほとんど出向かない
- 仕事以外の無駄な時間がほとんど皆無
- 隣の席の人や上司ともメールでやりとり
- 完全ペーパーレス
コロナウイルスが流行るずっと前からこのやり方でしたので
きっとこのような状況になってもほとんど不自由なくリモートワークに
切り替えていることでしょう
各部署にサイバーセキュリティ対策のエンジニアがいて
常時社内のコンピューター環境をチェックしています
それから日本と違い、終身雇用ではないので社員がしょっちゅう入れ替わるのですが
それでも皆いとも簡単に引継ぎをします(1週間程度でした)
そして日本のように上司が責任をもって部下に教える、育てていく
なんてことは一切やってはくれません
常に即戦力しか必要としていませんので引き継ぎには時間をかけません
厳しい世界だと思いました

日本のIT化は遅れていると思う
今の日本の現状を知っているわけではないので
このようなことをいうのはどうかと思うのですが
高齢者にもっとコンピューターに慣れてもらう環境を作り
どんどんIT化するべきだと思います
日本にもアダルトスクールを!
そして高齢者も日々の生活に積極的にコンピューターを取り入れるべきではないでしょうか
それにはやはり”アダルトスクール”のような無料、もしくは安価で学習する場所があればいいと思います
行政が学校などの空きスペースを使えるようにしたり
教える側もリタイアした人の再雇用などを積極的に促して
コンピュータ―スキルの高い人をパートで雇うなど
費用をかけずにコンピューターを学べる場所を設けてはどうでしょう
私自身、日々進化するシステムになんとか遅れをとらないように
できるだけなんでもコンピューターを使って作業するようにしています
そして新しいスキルが必要と感じたら
いつでもアダルトスクールや大学に戻るよう心がけています
もはや学校もわざわざ行かずに自宅でクラスが受けられる時代ですからね

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