職業はスクールバスドライバーです

コロナウイルスの影響で長く、仕事は待機状態でしたが
いよいよ来週から再開することになりました。
私は去年からスクールバスのドライバーをやってます
ご存知のようにあの黄色いバスのドライバーです
ご興味のある方もない方も一応、どのようにしてスクールバスのドライバーになったのか
ステップをご紹介します
最初にいいたいのは、アメリカ人だろうが何だろうが、
バンバンテストに落とされる!ということです
私の一緒に受けた仲間も6人いましたが皆、1,2回は落とされました
3回落ちたら振り出しに戻るにもかかわらず、です。
私も1回目はPre-Tripの段階で落とされてドライブもさせてもらえませんでした。
Step1 健康診断
まずは
現行の免許証と会社で用意された書類を持って健康診断をDMV指定のクリニックで受けます
DMV California Department of Motor Vehiclesの略で各州の陸運局のようなものです。車の登録、交通違反の罰金、免許取得のための試験から免許証発行まで車に関するあらゆることを取り扱っています。各州の各カウンティ(郡)にあり、アメリカで運転する時はまずこのDMVで免許証を取得します。
通常Commercial License (商業目的の免許証)には2年に1回の(Medical Check)健康診断が義務付けられています。結果は病院から直接DMVに送付されます。
Step 2 学科教習
学科は月曜から金曜の5日間、朝7時半から2時半までみっちり勉強
翌土曜日に最終テストが行われました

Step 3 DMVにて筆記テスト
次にDMVで数種類の筆記テストを受けます
大人になってからこんなにタイトな詰め込み式丸暗記式勉強をしたことがなかったので
思わず笑ってしまい、一応記録しておくことにしました
テスト1 Passenger Endorsement (School Bus のテスト) 20問 5問まで間違えてもOK
テスト2 Air Break 25問 5問まで間違えてもOK
テスト3 CDL Class B (Commercial Driver’s License ) 50問
Class C (普通免許)18問
General Knowledge 50問 この3つはセットで10問まで間違えてもOK
半年間の間に全テストパスしなければならず、
3回ミスしたら振り出しに戻ります(受験料も再度支払う)
テストの時間は無制限ですが、限度以上間違えるとそこでジエンドです
立ちっぱなしで受けるのでもたもたしてるとキツイですし、
横で貧乏ゆすりしたり奇声を発する人がいると気が散ります
運転の講習はインストラクターが合格というまで続く

講習の時間はテキトーでインストラクターが毎日決めます
朝6時から昼1時までみっちり教えてくれることもあれば、
LAから来ていた先生は途中でバイバーイ!と帰ってしまうし、
インストラクターを捕まえることが一番難しかったです
インストラクターがいなくても自主練習を毎日しないと、
英語でのPre-Trip(車体の点検)をスラスラ言えるようになるまではかなり大変でした
子供を乗せる仕事なのでいい加減なことは許されない
飲酒や薬物の抜き打ち検査の実施、
救命措置のテストにパスしなければならない
1年間に最低10時間の講習を受講
など、免許取得後も様々な検査や講習があります
Step 4 CHP学科テスト
CHP California Highway Patrolの略です School Bus はCHPの管轄です
まずは学科テスト 40問中6問まで間違えても合格です
この世でこんなにひっかけの多いテストは見たことがありませんでした、、、、、
事前に会社から模擬テストなど教材をもらっていたのに、です!
Step 5 CHPにて63人乗りバスのドライビングテスト
3か月後、やっとインストラクターのお墨付きをもらいテストにのぞみました
テスト日もこっちのタイミングは無視で会社から一方的に
今週木曜日ね、と言われました。心の準備が……なんて一切聞いてくれません
しかも試験管の都合で突然今日はキャンセル、なんてこともあります
インストラクターと一緒に自分でバスを運転して試験場に行きます(フリーウエイに乗って)
試験管 Jack 登場!
彼女は学科の時の試験管でもあり、このエリアで唯一の試験管で全て彼女の手にかかっています
1.Pre-Trip test
35分以内でバスの内外のすべてのコンディションをチェックします
時間制限があるにもかかわらず、Jackは容赦なく質問をはさんできます
消火器の有効期限から絆創膏の数、ワイパーのゴムの状態まで全部声に出してリポートします
時間節約のために小走りに移動しながら説明しようとすれば、Jackはすかさず、
私に聞こえなかったら意味ないわよ とゆっくり後ろから歩いてきます
2.ドライバーシートに座ってエアブレーキのテストです
専門用語のオンパレードで私は最初、何を言ってるのか全くちんぷんかんぷんでしたので
全部ビデオに録画してプリントに書き起こして丸暗記しました
ここでもJackはエアーブレーキに関する質問を次々に投げてきます もちろん間違えたらアウト!
3.バスを実際に走行させます
走行テストは約1時間、長すぎやしませんか???
Jack が後ろで睨むなか、ショッピングセンターの駐車場へ
コーナーをいかに縁石を踏まずに曲がるかのテストです
ちなみに縁石は一度でもタイヤが当たったら一発アウトです
8秒に一回、すべてのミラーをチェックします
また、その際にメーターも全てチェックします
前を見るのに精一杯なのに、と思って最初は怖かったです
縦列駐車のテスト
普段はあまりやらないとは思うのですが……
バスの全長プラス前後9ft(270cm)以内に納め、なおかつ縁石から12インチ(30cm)以内にバスをすっぽり納めます。(実は30回以上練習しました)
赤いコーンを立てて、コーンに触ったら一発アウトです
高速道路を出たり入ったり、踏切を渡ったり、
見えるもの、聞こえるものを口で実況しながら何回も繰り返します
「前方の車に注意してまーす、その先のストップサインも見てまーす、スピードは○mile, タコメーターは○を指してまーす」などと実況します
急に、次の出口でフリーウエイを降りろ、とムチャぶりもされます
子供の乗降を誘導します

何フィート前でウインカーを出して、
何フィート前で別のシグナルライトを出して、など手順は完璧に決まっています
実際に子供はいませんが、いるテイでやります
ストップサインを持って子供を誘導するのですが
このストップサインの上げる高さや
上げ下げのタイミングも決められています
これもJackに口頭で手順を説明しながら動きます
運転しながら、動作をしながら英語で説明するのが一番大変です
100回以上練習しました。家に帰ってからもずーっと呪文のように繰り返しました。
テスト終了……結果発表
CHPのオフィスに戻って駐車した後、
1時間半のテストの総評をJackが説明してくれました
結構なダメ出しでした
ここまで”Smile” 一つ見せなかったJackが最後に合格よ、と言ってくれた後、
子供の乗降の手順は完璧だったわ、と言ってくれた時は本当に泣けてきました。
今から思えば、あれぐらい厳しくないと、
人の命がかかっているので簡単にはパスさせられないと思います。
一番難しかったことは英語の専門用語

振り返ってみると一番大変なのはここでも英語です
特にエアブレーキの用語はまったくちんぷんかんぷんで
日本語で勉強しても単語が全然ちがうので
結局英語のテキストがボロボロになるまで読みました
というか、テキストが薄いわら半紙なのでボロボロになるのは非常に簡単でした
次回は皆さんに最も必要な、普通免許の取り方についても書きたいと思います
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